【畑のキャビア】スーパーフードとしても注目の「とんぶり」とは?

【畑のキャビア】スーパーフードとしても注目の「とんぶり」とは?

みなさん、秋田県の名産「とんぶり」をご存じでしょうか?とんぶりは、別名「畑のキャビア」とも呼ばれています。秋田県ではスーパーでもよく売られていますが、東北以外の方は馴染みがないかもしれません。今回は、近年スーパーフードとしても注目を集めているとんぶりの歴史や旬、おすすめの食べ方などについてご紹介します。

とんぶりとは?

別名「畑のキャビア」

とんぶりは、直径1~2mmの小さな粒で、深い緑色をしており、プチプチとした食感がキャビアに似ていることから「畑のキャビア」とも呼ばれています。キャビアはチョウザメの卵を塩漬けにしたもので、それに比べると味に癖がなく淡白な味わいになっています。

アカザ科ホウキギ属の一年草であるホウキギの成熟した実を加熱加工したものが、とんぶりです。ホウキギという植物は聞いたことがない方も、コキアは知っている方がいるかもしれません。ガーデニングをしている家に、赤や緑のカラフルな丸い植物を見たことがあるのではないでしょうか。それがホウキギで、私たちの身近なところにもある植物なのです。

名前の由来

名前の由来については諸説ありますが、唐(中国)から渡来した秋田の県魚ハタハタの卵(ぶりこ)に似ていることから「とうぶりこ」と呼ばれるようになりました。それが訛り「とんぶり」になったという説が強いといわれています。

とんぶりの歴史

とんぶりの原料であるホウキギの原産地は南アジア・中国・ヨーロッパで、平安時代の初期に日本へ渡来したといわれています。江戸時代の「農業全書」にもとんぶりの栽培について記されており、米代川流域でこのホウキギをなんとかして食べようと加工したのが始まりだとされています。

ホウキギの幹や小枝はホウキの材料、果実は薬用として使用するために全国で栽培されていました。とんぶりの原料となるホウキギの実の栽培には、ホウキギの小さな果実が強い風で落下しないように風の影響を受けにくい土地、加工時に多くの水を使用するため水に恵まれた土地が適しています。

そのような、ホウキギの栽培ととんぶりの加工に適した気候風土だったのが、秋田県大館市の比内地区です。山に囲まれているので強風から果実を守ることができ、豊富な湧き水にも恵まれているためとんぶりの加工に必要な水源を確保できるのです。

現在、日本で唯一とんぶりを商品として生産しているのは、秋田県大館市の比内町です。とんぶりの表面の皮をむく機械は、写真撮影もNGで企業秘密なのだそうです。

大館とんぶり

農林水産省では、その地域で長年培われた生産方法などの伝統技術や、気候風土などの特性により、高品質・高評価を獲得した産品のうち、特性が産地と結びついている産品について、名称を知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」を設けています。

秋田県大館市比内地区の特産物であるとんぶりは、2017年に「大館とんぶり」として登録されました。

大館とんぶりの生産量の推移

とんぶりが商品として販売されるようになったのは、昭和50年頃からです。商品化から数年後の昭和55年には生産量が205t、ピーク時の昭和63年には2倍以上の418tまで増加し、生産額は3倍にもなりました。

しかし、平成に入ると農家の高齢化や継者不足により、生産量・生産戸数が減少していきました。そこで、先ほどの「地理的表示(GI)保護制度」に登録し、全国的なブランドとして広め、生産者の確保や生産技術の継承などに力を入れています。

とんぶりの栄養について

とんぶりは低カロリーで淡白な味わいなため、栄養は少ないのでは?と感じるかもしれません。しかし、ビタミン・ミネラルがバランスよく豊富に含まれています。血糖値の上昇抑制・脂質の代謝を促進させるサポニンも豊富に含まれています。

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β-カロテン

100g中に800μgも含まれており、カボチャやブロッコリーと同じ程の含有量です。抗酸化作用や免疫力の活性化作用があります。

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ビタミンK

骨形成に欠かせない栄養素で骨粗しょう症の治療にも使われており、100g中120μgと比較的多く含まれています。キャベツやチンゲンサイと同等の含有量です。

ビタミンE

不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ抗酸化作用があり老化防止の効果が期待できます。とんぶりのビタミンEの含有量は、野菜の中では上位に入ります。

食物繊維

食物繊維が100g中7.1gと豊富です。食物繊維が豊富として知られるゴボウの100g中6.1gよりも多く含まれています。また、不溶性食物繊維が多く大腸内で水分を吸い便の量を増やします。そのため、腸の動きを促進させ便の通過時間を短縮させる働きがあります。発がん物質と大腸の接触時間を短縮することで、大腸がん予防も期待できます。

漢方薬として使用されていた

とんぶりは中国で「地膚子(じふし)」と呼ばれており、古来より漢方薬として使用され、主に強壮作用、利尿作用があります。低カロリーかつ含まれている栄養素も豊富で、健康のために摂取していきたい食品の一つではないでしょうか。

旬の時期・食べ方

とんぶりの旬

とんぶりの旬は、10~11月頃です。9~10月に収穫し、翌年の春まで加工と出荷が続きます。ボイルや皮むきなどの加工をして年中商品が出荷されますが、10~3月までは生食用のとんぶりが出回ります。

生のとんぶりは、よりプチプチ感、プリプリ感が味わえるのです。それ以外の期間は、真空パックや瓶詰めで出荷されます。

おすすめの食べ方

とんぶりは、洗わずにそのまま食べることができます。まずは熱々のご飯にとんぶりをのせ、醤油をかけて食べてみて下さい!とんぶりのプチプチ感とご飯の持っちりとした食感が癖になる、簡単レシピです。とろろと卵黄を合わせてもGOOD♪

冷ややっこや和風パスタのトッピングとして、キャビアの様にクリームチーズや生ハムと合わせてカナッペに、マリネや和え物にもおすすめです。

また、とんぶりに含まれるサポニンは、アルコールの吸収抑制、肝機能の増強などの効果もあるため、お酒のおつまみにもおすすめの食材ですよ。

調理のポイント

とんぶりは水分を多く含むので、食べる直前に味付けをすることで水っぽくならずにプチプチ感を楽しめます。加熱のし過ぎも水分量が変化して食感が損なわれやすいので、火加減を確認しながら調整してみて下さいね。

まとめ

いかがでしたか?とんぶりは普段の料理にかけたり、和えたりなど様々な楽しみ方がありますね。プチプチとした食感がアクセントとなり、料理のレパートリーも増やせるのではないでしょうか。

また、低カロリーかつダイエット中や美容にもかかせないビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養が豊富です。癖のない食べやすい味で様々な料理に取り入れやすいため、日々の食事でそれらの栄養素を継続的に摂取しやすいですね。ネット通販でも気軽に購入できるので、ぜひこの機会に召し上がってみてはいかがでしょうか。

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