【食後に眠くなるのはなぜ?】大切なのは「血糖値」の上昇下降の動き

【食後に眠くなるのはなぜ?】大切なのは「血糖値」の上昇下降の動き

食事のあと、眠気が出た経験がある方は多いのではないでしょうか?これは血糖値の動きが関係しています。また、血糖値の上昇下降はからだの健康とも関係があるのです。今回は血糖値の動きについて解説します!

2023年11月19日

糖質の消化と血糖値

そもそも血糖値って何?

食事をしてからだの中に入った糖質は、そしゃくや消化酵素によって分解され、ブドウ糖になります。その後ブドウ糖はからだに吸収され、血液の中に入ります。「血糖値」とは、このブドウ糖の濃度のことを言っているのです。血糖値は食前では低くなり、食後には高くなります。

血糖値とホルモン

血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが出ます。これが分泌されると、血液中のブドウ糖は細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されているのです。エネルギー源として使われず余ったブドウ糖は、肝臓や筋肉にたくわえられます。このようにして血液中のブドウ糖が利用され、血糖値が下がるしくみです。 逆に空腹で血糖値が下がったときは、すい臓から「グルカゴン」というホルモンが出ます。からだにたくわえていたものを分解して、血液中に送ります。そしてエネルギー源として利用しているのです。 このようにホルモンの働きによって、血糖値は一定に保たれるように調整されています。

眠気を感じる原因は血糖値?

眠気と血糖値の関係

食前は血糖値が下がり、食事をすると血糖値が上がります。正常な状態でもこのような上がり下がりはあるものの、ホルモンで調整することで、緩やかな動きをしています。 これが何かの原因により血糖値が急に上がってしまった場合、からだは急いで血糖値を下げようとインスリンをたくさん出すため、血糖値は急降下。インスリンがたくさん出た結果、血糖値は逆に下がり過ぎて、低血糖になるのです。 低血糖になると、からだはエネルギーが足りない状態になります。特に脳は糖を主なエネルギー源としていますが、これが不足してしまうのです。食後に眠気を感じるのは、血糖値が大きく上昇下降し、低血糖状態に近くなったためと考えられます。この血糖値の上昇下降の動きが急激なほど、眠気の他に頭痛やけんたい感などの症状が出ることがあります。

血糖値とからだの影響

血糖値の動きは、糖尿病にもつながる

血糖値の上昇下降の動きが激しい状態は「血糖値スパイク」とも呼ばれています。急激な乱れが頻繁に起こると、血管が傷みやすくなるため、このことが動脈硬化につながると考えられ、問題とされています。また血糖値スパイクの状態が続くと、インスリンの分泌が不足し、効きが悪くなる可能性があるのです。このため、糖尿病につながりやすい状態であると言われています。

血糖値はダイエットにも関係

血糖値の動きは、実はダイエットにも関係しています。血糖値が上がるとインスリンが分泌され、ブドウ糖をからだにたくわえることで血糖値を下げようとします。また、中性脂肪を合成して、からだに蓄積することでも、血糖値を下げようとするのです。つまり体脂肪を蓄積しないためにも、インスリンが多く分泌しないようにすることが大事で、ダイエットをする上でも大切です。

血糖値を緩やかにすることが大切

眠気をはじめとする、からだの不調を出さないためには、血糖値の急降下がないようにすることです。そのためには、まずは血糖値を急上昇させないようにすること。血糖値が常に緩やかな動きになることが、からだにとって大切です。

血糖値を緩やかな変動にする具体的な対策

食事を抜かない

前の食事を抜いて、空腹の状態で食事をした場合、血糖値が急激に上がります。また早食いや食べ過ぎになることが多く、このことも血糖値の急激な上昇につながります。まずは3食適量をきちんと食べることが大切です。

食物繊維を一緒に摂る

食物繊維の中でも、特に水に溶ける水溶性の食物繊維は、糖に吸着して排出を促したり、吸収をゆっくりにしたりする働きがあります。ゆっくり吸収すると血糖値が緩やかに上昇するため、急激な上昇下降を抑えることができます。 食事では、白いごはんに食物繊維の多い雑穀を混ぜて炊く。たっぷりの野菜を組み合わせて食べるなど、食物繊維を一緒に摂ることが効果的です。

食べる順番に気を付ける

食事をするときは、まずは食物繊維の多い野菜や海藻類を食べてから、最後にごはんやパンなどの糖質を食べるようにすると、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。このように、順番を意識して食べることも大切です。

まとめ

血糖値を緩やかな動きにしよう

からだの健康と血糖値の関係を、考えたことがありましたか?自分の血糖値の動きを考えて、緩やかになるように食事をすると、健康的な食生活が送りやすくなります。 食事のタイミング、食事の量を考えるとき、「血糖値は上がり過ぎないかな?」とちょっと意識してみてくださいね! 【参考文献】 ・厚生労働省/ e-ヘルスネット/健康用語辞典 生活習慣病予防 血糖値 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-085.html)  閲覧日:2022年6月22日 ・厚生労働省/ e-ヘルスネット/健康用語辞典 生活習慣病予防 インスリン (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html)  閲覧日:2022年6月22日 ・厚生労働省/ e-ヘルスネット/健康用語辞典 生活習慣病予防 糖尿病 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html)  閲覧日:2022年6月22日

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著者

原 美香(管理栄養士)

食べることが大好きで大学で栄養学を学ぶ。卒業後は食品会社を経て、管理栄養士の会社で特定保健指導、スーパーや惣菜店のメニュー開発等に携わる。現在はオンラインでのコラムを執筆中。1男1女の母としても奮闘中! 生活を楽しく豊かにしていく食事を目指しています!


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