【意外と知らない】管理栄養士が「糖質量」の疑問について分かりやすく解説
ここ数年「糖質」が注目されています。「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に新たに「利用可能炭水化物(単糖当量)」が加わり、ますます糖質量が複雑に…。そこで管理栄養士が「糖質」「糖質量」についてわかりやすく解説します。
2019年05月14日
そもそも「糖質」とはいったい何?
炭水化物と糖質の関係
糖質というと甘いもの。お砂糖のイメージですか? 一方、炭水化物というと甘くないご飯やパン、麺などを思い浮かべるのではないでしょうか? ズバリ!砂糖は糖質そのものです。ご飯やパン、麺類のような主食の大部分も糖質です。また、炭水化物には消化吸収されない、すなわちエネルギーにならない食物繊維も含まれます。糖質とは炭水化物から食物繊維を引いたものなのです。
「糖質量」と「利用可能炭水化物(単糖当量)」
「糖質量」とは
糖質=炭水化物-食物繊維 実は…この計算式の炭水化物は実際に分析した値ではなく、炭水化物以外の成分を引いて出した値なのです。 食品成分表に掲載されている、食品100g中の炭水化物の量は、食品100g中の水分、たんぱく質、脂質、ミネラル、アルコールを差し引いたものです。簡単に言い換えると、炭水化物の量は他の成分の残りの量で計算されていたということですね。
「利用可能炭水化物(単糖当量)」とは
平成27年12月に改定された「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」からあらたに「利用可能炭水化物(単糖当量)」という項目が加わりました。 先ほど説明したように、炭水化物の量は他の成分の差し引いて計算していたものでしたが、「利用可能炭水化物(単糖当量)」は糖を分析して求めた数値です。 利用可能炭水化物(単糖当量)とは、ヒトの消化酵素で消化できるもの「エネルギーとなる炭水化物」です。利用可能炭水化物(単糖当量)は、でん粉、ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ 糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース等を利用可能炭水化物として直接分析または推計して、単糖換算、合計した値です。
糖質の多い食品とは
さて、実際の食品にはどれだけの糖質量が含まれているのでしょう。糖質の多い食品を表にまとめました。 なお、「利用可能炭水化物(単糖当量)」は、分析されていない食品もあります。 また消費者庁の栄養基準では、糖質量は差し引きの計算値、「糖質=炭水化物-食物繊維」と定めています。
糖質量・食材
糖質量・果物&嗜好品
実際の使い方
単糖当量と従来の差し引いた糖質量、どちらを見ればいいの?
従来の差し引き計算による糖質量と、分析実測値の利用可能炭水化物(単糖当量)では同じものもあれば、違うものもあり、どちらが正しいのか迷うという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ダイエットで糖質量が知りたいという方には、食品すべてが網羅されている従来の差し引き計算値の糖質量。糖尿病などで、厳密に糖質量のコントロールが必要な方は、利用可能炭水化物(単糖当量)を参考にされるとよいのではないでしょうか。
最後に
必要な糖質量は人それぞれ
糖質は、ひとが生きるために必要な栄養素ですが、摂りすぎると生活習慣病や肥満の引き金にもなります。必要な糖質量は人それぞれです。健康な毎日のために、ご自身にぴったりの糖質量を見つけるご参考になれば幸いです。
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著者
水谷 俊江(管理栄養士)
南米、北米で10年間生活した中で、改めて日本人の食文化の偉大さを感じました。美容クリニックでのダイエット指導、特定保健指導での相談業務に携わり、現在では「食」をテーマにしたコラムを執筆しております。世界の食文化と同じように、お一人お一人のお食事の環境や歴史は異なります。今の生活の中で無理なく太る習慣が改善できる方法をオートクチュールで提供いたします。