【管理栄養士が教える】知っているようで知らない「脂質の種類」

【管理栄養士が教える】知っているようで知らない「脂質の種類」

「あぶら」といっても、漢字で書くと「油」も「脂」もあぶらです。「あぶら」を脂質と脂肪酸という人もいます。知っているようでよくわからない「あぶら」と「脂質」の種類について、管理栄養士が分かりやすく解説します。

2020年02月26日

そもそも「あぶら」って?

油と脂

あぶらは油脂とも呼ばれます。そこでまず2つに分類できます。 ●油:英語でoil常温で液体の油 ●脂:英語でfat常温で固体の脂

脂質と脂肪酸の違い

脂肪酸を検索すると、「炭素(C)と水素(H)と酸素 (O)の3種類の原子で構成され、炭素 (C)が鎖状につながった一方の端に カルボキシル基(-COOH)がついている」とでてきます。 ●脂質:炭水化物やたんぱく質のように栄養素としてのあぶら ●脂肪酸:科学的構造によるあぶらの性質 【米+油=やせ体質?!】「オイルおにぎり」の驚きの効果とは?

脂肪酸での分類

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

あぶらの性質の違い、すなわち脂肪酸で分類すると、 ●不飽和脂肪酸:常温で液体。魚油、植物性の油(ココナッツ油、パーム油は例外) ●飽和脂肪酸:常温で固体。魚を除く動物性の脂、ココナッツ油、パーム油

二重結合がカギ

常温で液体になるか固体になるかの違いは、炭素のつながり方や、炭素数の二重結合があるかないかで決まります。 炭素と炭素のつながり方は、1本の手でつながっているものと2本の手でつながっているものとがあり、2本の手でつながっている状態を二重結合といいます。 二重結合がない脂肪酸は飽和脂肪酸、二重結合のある脂肪酸は不飽和脂肪酸と呼ばれています。

体にいいあぶらって?

一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸

オリーブオイルが体にいい!と言われたり、ここ数年は、n-3系の油が健康に良いと注目されています。 常温で液体の不飽和脂肪酸は、二重結合が1つのものを「一価不飽和脂肪酸」。2つ以上のものは「多価不飽和脂肪酸」と分類されます。 ●一価不飽和脂肪酸:二重結合が1つ ●多価不飽和脂肪酸:二重結合が2つ以上

最近よく聞くn-3系やオメガ3の油って何?

多価不飽和脂肪酸は、何番目に二重結合があるかで、それぞれ性質が変わります。3個目の炭素に二重結合があるものをn-3系(オメガ3)脂肪酸といい、6個目の炭素に二重結合があるものをn-6系(オメガ6) 脂肪酸、9個目の炭素に二重結合があるものをn-9系(オメガ9)といいます。 ●n-3系脂肪酸:α-リノレン酸(エゴマ油、アマニ油など)、EPA(魚油)、DHA(魚油) ●n-6系脂肪酸:リノール酸(綿実油、大豆油、コーン油、米ぬか油、ごま油など) ●n-9系脂肪酸:オレイン酸(オリーブ油)

まとめ

あぶらの分類

普段食べている食品に含まれる脂肪酸を表にまとめると、上記のようになります。(著者作成)

最後に

あぶらを考える

炭水化物やたんぱく質は1gが4kcal。脂質は1gが9kcalあるので、ダイエットの敵!と思われがちですが、細胞を包む膜や血管、ホルモンには脂質が重要な役割を果たしています。カロリー制限や脂質制限ダイエットをして脂質が不足すると、肌もカサカサになります。 一方、肉食が多い方は飽和脂肪酸を。炒め物や加工食品などが多い方は、知らず知らずのうちにn-6系の油を多くとっている傾向があります。 さて、皆様の今晩のメニューはどんな油が多いでしょうか?普段の生活で食べている「あぶら」の種類を意識することで、健康的な食生活につながれば幸いです。 【高カロリーだけど食べてOK】管理栄養士がダイエット中におすすめする食べ物って?

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著者

水谷 俊江(管理栄養士)

南米、北米で10年間生活した中で、改めて日本人の食文化の偉大さを感じました。美容クリニックでのダイエット指導、特定保健指導での相談業務に携わり、現在では「食」をテーマにしたコラムを執筆しております。世界の食文化と同じように、お一人お一人のお食事の環境や歴史は異なります。今の生活の中で無理なく太る習慣が改善できる方法をオートクチュールで提供いたします。


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