【早産リスクも下げる?】妊娠前から野菜をたくさん食べた方がいい理由

【早産リスクも下げる?】妊娠前から野菜をたくさん食べた方がいい理由

赤ちゃんを産みたいと思った時に、今からできることの1つは、食生活の見直しです。その中でも、特定の野菜の摂取と早産リスクに関連性が見られたと、オーストラリアにある大学の研究で報告されました。今回、管理栄養士がこの最新文献を紹介しつつ、妊娠する前から野菜を充分に食べた方がよい理由3つを紹介したいと思います。

早産の発生頻度と野菜摂取に関する日本の現状を解説

早産の発生頻度は?

日本での早産は、妊娠22週0日~36週6日までの出産を意味しています。また、1980年と2009年での単産と複産の早産の発生頻度を比べた場合、単胎で出生した場合は、ほぼ変わりませんが、双子や三つ子など多胎で生まれた場合は29.4%から57.2%と約2倍に増加しました。

野菜の摂取量は?

平成30年に厚生労働省が国民全体に調査した結果、女性の平均値は273.3gで1日の野菜摂取目標量350gよりも少ない結果となりました。

また20歳以上の年齢階級別にみると、最も赤ちゃんを産む可能性がある20代~40代の女性では約240gと、他の年代よりもさらに少ない結果となりました。そのため、集団で見た場合に、妊娠する前の女性は野菜が不足している可能性が多いといえます。

最新文献の「妊娠「前」の野菜摂取で早産リスク低下」の研究内容とは?

研究方法は?

オーストラリアにある大学の研究により、約3500人の国内住在の女性の食事を分析しました。

研究結果は?

「妊娠前にニンジン、カリフラワー、ブロッコリー、カボチャ、キャベツ、インゲン豆、ジャガイモなどの昔ながらの野菜を豊富に摂取していると、特に未産婦に早産リスク低下との関連が見られた」と結論付けました。

また、その理由として「昔ながらの野菜には、抗酸化物質や抗炎症性の栄養素が豊富に含まれ、これらは、残念な出産結果のリスクを軽減する上で重要な役割を果たしている」と説明しています。

早産の原因として、喫煙の有無やストレスのほか、妊娠中の異常、病気など様々な要因が考えられます。そのため、野菜を摂取するだけで早産リスクを下げることができるとは、断定しにくいのが現状です。しかし、妊娠する前に野菜を摂取するメリットは、早産リスクの軽減以外にもいくつか考えられるため、是非、見直したい食習慣の1つです。

妊娠する前から野菜を食べるメリット3つ

メリット1:酸化ストレスを予防する

酸化ストレスとは、活性酸素の産生が過剰になった状態を言います。活性酸素は紫外線や喫煙のほか、過度な運動やストレスなどが原因で増え、老化や癌、また早産、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などとの関連性が注目されています。

先ほど紹介した文献はこれにあたり、抗酸化物質を多く含む野菜を摂取することで酸化ストレスを予防し、その結果、早産リスクを下げる可能性があると説明できます。また、文献の中で昔ながらの野菜の摂取を強調された理由として、一般的に伝統野菜などは、風味や抗酸化物質などの栄養価が通常の野菜よりさらに高いといわれているためだと考えられます。

メリット2:胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを下げる可能性がある

神経管閉鎖障害は、主に先天性の脳や脊髄の癒合不全のことです。欧米諸国を中心に、葉酸の摂取と神経管閉鎖障害のリスクとの関連性が報告されています。しかし、神経管閉鎖障害は遺伝因子など様々な要因により起こるため、葉酸摂取だけで予防できるものではなく、集団で見た場合にそのリスクの低減が期待できるものです。

葉酸を特に含んでいる野菜は緑黄野菜ですが、緑黄色野菜を簡単に見分ける方法の1つとして、ほうれん草、かぼちゃ 、ブロッコリーなどの色の濃い野菜が目安にすることです。葉酸は、その他、豆類や果物にも含まれるため、栄養バランスの整った食事をすることが大事です。

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メリット3:母体の健康や胎児の発育を増進する

野菜はビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含み、健康の維持や増進に役立ちます。そのため、妊娠中は、非妊娠時よりもさらに野菜を摂取する必要があります。妊娠する前から、充分に野菜を食べる習慣などの規則正しい食生活を整えることで、妊娠時だけでなく授乳期もスムーズに必要な栄養成分を確保しやすくなります。

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まとめ

仮に早産になったとしても自分を責めない

今回、オーストラリアの最新文献を紹介しながら、妊娠する前に野菜を摂取することの大切さを解説しました。規則正しい食習慣は、母体や胎児の健康を増進する助けをするものの、妊娠中や出産でのトラブルは複数の要因が重なる場合が多いです。そのため、トラブルが起きても、1人で抱え込まず、不安がある場合は、家族や医療スタッフに相談しましょう。

【参考文献】
「妊娠「前」の野菜摂取で早産リスク低下」(国立健康・栄養研究所)
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=71050&-lay=lay&-Find.html
(アクセス日:2020年7月14日)

「切迫早産と早産のTHEマネジメント 薬剤治療、入院管理にエビデンスは?」(ペリネイタルケア)
https://www.medica.co.jp/sample_page/magazine/130011802/html5.html#page=7
(アクセス日:2020年7月15日)

「平成30年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000635990.pdf
(アクセス日:2020年7月15日)

「平成22年度「出生に関する統計」の概況」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/dl/01.pdf
(アクセス日:2020年7月16日)

「早産/低出生体重にかかわる要因に関する疫学的調査―母体の酸化ストレスと妊娠期間および出生体重との関係―」 (ストレス科学研究 2015, 30, 186-187)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/30/0/30_186/_pdf/-char/ja
(アクセス日:2020年7月26日)

「平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000635990.pdf
(アクセス日:2020年7月26日)

「「副菜」で野菜の十分な摂取を」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02c.pdf
(アクセス日:2020年7月27日)

「県産農産物を活用した機能性食品の研究 -加賀野菜の機能性について-」(石川県工業試験場)
https://www.irii.jp/randd/theme/h16/study14.htm
(アクセス日:2020年7月31日)

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