【都道府県ランキング】食塩摂取量の多い長野県の取り組みとは?
日本人の食塩摂取量は年々減少してきていますが、日本の食文化の特徴からまだ日本が目指している目標量を超えているのが現状です。塩分を摂りすぎると高血圧や動脈硬化、脳血管疾患、腎臓病などのリスクが高まります。今回は塩分摂取量が多い長野県の特徴と、県が実施している信州ACEプロジェクトについてお伝えします。
2021年10月27日
日本の食塩摂取量の現状
男女ともに1日の目標量をオーバー
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ナトリウム(食塩相当量)の1日あたりの目標量は男性8.0g未満、女性7.0g未満としています。 しかし、平成28年国民健康・栄養調査調査によると1日の食塩摂取量の平均は男性が10.8g、女性が9.2gと目標量を超えているのが現状です。味噌汁1杯あたりの塩分が約1.2gですので1日3回飲むと味噌汁だけで目標量の半分です。ラーメンの場合ではつゆまで飲み干すと約6gですので、いかに塩分摂取量を目標量に近づけることが難しいかがわかります。
都道府県別の食塩摂取量
都道府県別の食塩摂取量の上位の都道府県を見てみましょう。(平成28年国民健康・栄養調査調査より) ★男性 1位:宮城県 11.9g 福島県 11.9g 3位:長野県 11.8g ★女性 1位:長野県 10.1g 2位:福島県 9.9g 3位:山形県 9.8g 上記のように、日本の中でも寒い地域は塩分摂取量が高い傾向にあります。寒い地域は今のように冷蔵庫やハウス栽培がない時代では、作物の育たない長い冬を越すために保存食として食材を塩や味噌につけたりしたものを冬の間に食べていました。このような食文化の傾向から寒い地域では塩分摂取量が現在でも高くなっていると考えられます。
男性3位、女性1位の塩分摂取量『長野県の秘密』に迫る!
塩分摂取量は多くても、長野県は平均寿命が高い!
塩分摂取量が高い長野県ですが、厚生労働省が5年ごとに算出している都道府県別生命表によると、長野県の平均寿命は男性81.75歳と全国2位、女性87.675歳と全国1位と平均寿命が高いという特徴があります。ちなみに、平成22年の都道府県別生命表では男女ともに長野県の平均寿命は第1位でした。
長野県の野菜摂取量は全国ナンバー1
長野県の特徴としてもう一つあげられるのは野菜の摂取量です。長野県の野菜摂取量は男性352.0g、女性335.3gと男女ともに全国第1位です。野菜摂取量の全国平均値は男性283.7g、女性270.5gですので、長野県の野菜の摂取量がいかに多いかがわかります。(平成28年国民健康・栄養調査より) 野菜の摂取量が多いということも、平均寿命が高いことに繋がっているの可能性があると言われています。 【お手本は“離乳食”】 野菜スープがダイエットに良い理由
健康長寿の秘密『信州ACEプロジェクト』
信州ACEプロジェクトとは?
平均寿命が高い長野県ですが、脳血管疾患で死亡する人の割合が他の県に比べると高いという課題がありました。脳血管疾患を発症する理由として、塩分摂取量の多さがあげられます。 そこで長野県では、「しあわせ健康県」を実現するため平成26年に信州ACEプロジェクトを立ち上げました。信州ACEプロジェクトは脳血管疾患など生活習慣病予防に効果的な「Action(体を動かす)」「Check(健診を受ける)」「Eat(健康に食べる)」の頭文字を表した県民運動で、世界で一番(ACE)の健康長寿を目指す想いが名前に込められています。
Action(体を動かす)
毎日続ける速歩と体操 ~休日は楽しみながらウォーキング~ ★取り組み例 ・インターバル速歩など効果的な運動手法の普及 ・ウォーキングイベントやオリジナル体操の普及支援 ・長野県版運動プログラム(幼児期からの運動遊び)の普及 など 【コツはタイミングにあり】ウォーキングの前後に飲んだ方がいい飲み物って?
Check(健診を受ける)
家族そろって必ず健診 ~毎年の歯科チェック、毎日の血圧チェックも~ ★取り組み例 ・企業や保険者と連携した受診促進を含めた健康づくりのモデル的取組の支援 ・健診受診の新たな促進策の検討・実施 ・血圧の自己測定など薬局の健康情報拠点化、かかりつけ歯科医での定期歯科チェックの取組強化 など
Eat(健康に食べる)
増やそう野菜 ~1食の塩分は3g、野菜はもう一皿~ ★取り組み例 ・食堂、コンビニ・スーパー・社員食堂における健康づくり応援メニューの提供支援 ・健康をテーマにした食品等の開発・普及 ・家庭や地域での減塩・野菜の摂取推進 など 【参照】 長野県健康福祉部健康増進課「信州ACE(エース)プロジェクト ~健康づくり県民運動の展開~」 (https://ace.nagano.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/04ACEproject20150330.pdf)
まとめ
あなたの塩分摂取量は大丈夫?
長野県のコンビニやスーパー、飲食店では「ACE弁当」や「ACEメニュー」を販売しています。まだ塩分摂取量が他の県に比べて高い長野県ですが、野菜摂取量が多い、平均寿命が高いという特徴があります。そして長野県全体で取り組んでいる「信州ACEプロジェクト」とともに、今後の長野県の塩分摂取量に良い変化が現れることを期待しています。 また、長野県に限らず濃い味付けのものを好んで食べていないか、麺類のスープまで飲み干していないかなど、これを機に日々の自分の塩分摂取量を振り返ってみてはいかがでしょうか。 【ごはん・パン・めん】主食の「太らない食べ方」って知ってる?
【やせ習慣が身につく】管理栄養士が食生活をコーディネートするアプリって?
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著者
河村 桃子(管理栄養士)
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。