【捨てるとこなし◎】管理栄養士が冬の高級魚「アンコウ」の栄養について解説

【捨てるとこなし◎】管理栄養士が冬の高級魚「アンコウ」の栄養について解説

冬の高級魚といえばアンコウ!グロテスクな外見とは裏腹に、ふっくらとした白身の魚で鍋や唐揚げなどにして食べるのは格別ですよね。頻繁に食べる魚ではないけれども、「アンコウって栄養あるの?」「カロリーは高いの?」といった素朴な疑問を解説します!

2020年01月15日

「アンコウ」ってどんな魚?

食用として出回っているのはメス

「西のフグ、東のアンコウ」という言葉があるように、アンコウは東日本を中心に食べられてきましたが、現在では全国的に食べられている魚です。 日本近海にはたくさんの種類のアンコウが分布しており、日本で一般的に食用とされているのは水深約500mの深海魚であるキアンコウという種類のメスです。オスはメスほど大きくならないため、主にメスが食用として出回っています。 ちなみに、アンコウの中でもよく名前を聞くチョウチンアンコウ。意外にもその生態は未だ解明しておらず、食用としても流通していません。

旬は肝が大きくなる冬

「アンコウの価格は肝で決まる」と言われており、肝臓の大きさによって価格に違いが出ます。冬は寒さに備えるために肝が大きくなるため、11月〜2月が最も美味しい時期です。 また諸説ありますが、アンコウは江戸時代には「三鳥二魚」という五大珍味のうちの一つであったと言われています。 ※三鳥二魚・・・江戸時代の五大珍味で、鶴・雲雀(ビバリ)・鷭(バン)・鯛・鮟鱇(アンコウ)であったと言われています。

食べられるのはどこ?

捨てるとこなし!アンコウの七つの道具

アンコウは捨てる部分がほとんどない魚として有名で、歯・目・骨を除く全ての部位が食べられます。「アンコウの七つの道具」という言葉があり、柳肉(身肉・頰肉)、キモ(肝臓)、皮、水袋(胃)、ヌノ(卵巣)、エラ、トモ(ヒレ)の七つの部位が食べられています。

七つの道具を全て味わうには鍋!

アンコウを使った料理といえば切り身と野菜を入れたアンコウ鍋が有名です。中でも、漁師たちが船上で作っていたのが始まりであるどぶ汁は、水分を加えずに鍋で肝を乾煎りしてから残りの部位と野菜を入れ味噌で味付けするため、肝の濃厚なコクとアンコウの全ての部位を味わうことが出来ます。

アンコウの栄養成分の特徴は?

身肉は低カロリーでヘルシー

白身魚に分類されるアンコウの身肉は100gあたり58kcalと低カロリーです。同じ白身魚の高級魚であるフグは100gあたり85kcal、日常でよく食べられている白身魚のタラは77kcalですので、アンコウの身肉が低カロリーであることがわかります。 また、100gあたりのたんぱく質量は13.0g、脂質0.2gとたんぱく質が多く、脂質が少ないため身肉は比較的ヘルシーな食材であると言えます。

皮は美肌を支えるコラーゲンがたっぷり

プルップルな食感の皮にはコラーゲンが多く含まれています。 コラーゲンは皮膚や腱などの組織を構成するたんぱく質で、体を構成するたんぱく質の3割を占め、そのうちの4割が皮膚に存在しています。 コラーゲンは肌に潤いやハリ、弾力を与えてくれるため、健康的で美しい肌を支えている重要な役割を果たしていると言われています。

キモ(肝臓)の栄養成分の特徴は?

カロリーは高いが、ビタミン豊富なあん肝

「海のフォアグラ」と称されるあんこうの肝(あん肝)。一口サイズに切ったあん肝1切れ(約10g)は45kcal、脂質4.0gと身肉とは対照的に脂質が多くカロリーが高いです。 しかし、カロリーは高いものの粘膜や皮膚を強化し、また免疫力向上の効果が期待できるビタミンAや、骨や歯の成長に関わり、カルシウムの吸収を助ける働きをするビタミンD、造血のビタミンと呼ばれているビタミンB12はあん肝1切れで1日に必要とされる量を充分に摂ることができます。 【今日のダイエット献立】ボリューム満点♪タラを使ったバランスごはん<492kcal>

まとめ

旬のアンコウを食べよう!

最近では加工技術の進化からお店では通年を通して食べることができるようになってきましたが、やはり旬に食べるアンコウの美味しさは格別です! また、スーパーではすでに捌いた状態で売られているため、ご家庭でもアンコウを楽しみやすくなってきています。他の魚に比べて価格は高い傾向にありますが、美味しい旬の冬にアンコウを楽しんでみてはいかがでしょうか。 【魚の王様】実は取り入れやすい!自宅で「鯛」を美味しく食べるレシピ3選

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著者

河村 桃子(管理栄養士)

管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。


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